お知らせ
後発白内障と眼内レンズ
2025年03月21日

以前白内障の手術をしたのに数年後また白内障のように視力低下が発症する場合があります。患者様の中には眼内のカメラのレンズにたとえられる水晶体を手術で完全にとりかえて新しいものにしてしまうと考えている方も多いとおもわれます。しかし現在の白内障の手術は水晶体の被膜にあたるカプセル(いくらの卵でいうなら表面の袋)だけをのこし内部の混濁した部位を除去しその中に人工水晶体を挿入する手術です。水晶体のカプセルの内部には水晶体上皮細胞が残存し完全には除去することはできないため年齢が若い患者様ほどこの細胞が再増殖して水晶体カプセルが濁ってしまい再び白内障のような見え方になることがあります。この状態を後発白内障といいます。このような状態になっても心配することなく一度眼科を受診しましょう。後発白内障であった場合治療は手術室で行うわけではなく、また角膜を切開するわけでもなく、全く痛みも感じないで治療できるため外来で診察を受ける雰囲気で簡単にもとの視力にもどすことができます。術後の洗顔なども直後からでき感染症の心配はありません。白内障の手術のときに挿入した眼内レンズもそのままで取り替える必要もありません。一度後発白内障の治療を受けた場合通常2度とカプセルが混濁することがないため再発することはまずありません。
はじめに白内障の手術はカプセルだけ残し内部の混濁した部位を除去しその中に人工水晶体を挿入する(現在では白内障の手術を水晶体再建術と呼ぶようになってきています。)とはなしましたが水晶体カプセルはチン小体と呼ばれる線維で周辺の組織に固定されていますが本来の水晶体とことなりカプセルの厚みを変えることはできません。瞳の大きさが変わったりして多少の偽調節と呼ばれる調節する力しかありません。しかし白内障の手術を受ける患者様のほとんどが老眼で調節力がないため術後に不便を感じることはないでしょう。最近では多焦点眼内レンズも開発されてきており一つの光学系で数種類のレンズが組み込まれているため遠方も近方も眼鏡の使用をしない状態でもほぼ見える技術が開発されています。(多焦点眼内レンズは一つの光学系で脳が見るレンズを自動的に選択して物体を把握するためシャープに物体を見ようとすると周辺が多少ぼやけて見える場合もあり患者様によって向き不向きの場合があります。一度挿入した場合は交換ができないので希望される場合には眼科医とよく相談して決めましょう。多焦点眼内レンズは保険適応ではないため費用が高額となるためよく考えてから挿入を希望しましょう。)蛇足ですが多焦点眼内レンズを挿入しても後発白内障は発症しますのでのその場合はさきほど説明させていただいた後発白内障の治療と同じ治療を行うことで視力は改善します。