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お知らせ

視神経管骨折

2024年08月15日


眼球から得られた視覚情報を視神経と通じて我々は物体を認識しています。視神経は頭蓋内に入るとき視神経管と呼ばれる細い管を通りますがこの視神経管が損傷したり打撲によるこの部位での視神経出血、血行障害、浮腫で視神経の機能が障害を受け眼からの情報を脳に伝えられなくなり強い視力障害が発症します。原因としては交通事故や自転車の転倒、転落事故で頭部の眉毛部外方を打撲した場合に発症する場合が多く報告されています。

診断
視診により眉毛部外側の傷の有無、視力障害の有無、瞳に光を当てた場合の瞳孔の反応の状態、視野検査による視野異常、眼底検査による視神経乳頭の状態、X線写真、CT写真による骨折線の有無などで診断していきます。
視診により眉毛部外側の傷はほぼ全例にあり重要な所見です。
瞳に光を当てた場合の瞳孔の反応の状態を対光反射といいます。受傷した側と反対側の眼に光を交互に当てると受傷していない側の瞳は縮瞳しますがすぐに受傷した側の眼に光を当てると軽度散瞳します。この状態で視神経の損傷していることが推測できます(交互対光反射試験)。

視野検査では側方にわずかに視野のこっている島状型、視野の周辺部のみ欠損している欠損型、視野の中心部が欠損している中心暗点型、測定不能型の4パターンに分類できいずれも視神経損傷をおこしていることをしめしています。
眼底検査による視神経乳頭の状態では受傷後2週間以内では正常なことが多く、時間が経過するとともに受傷眼の視神経乳頭の色調は蒼白になっていきます。かりに視力が回復してもこの色調はそのままで改善しないことがほとんどです。

X線写真、CT写真による骨折線の有無などの診断では骨折線を認める場合は病変が発症していてもほとんどありません。MRIをもちいても所見のない場合がほとんどで画像診断は補助的診断と考えるべきでしょう。

治療
治療には手術療法と薬物療法があります。
手術療法としては視神経管を覆っている骨壁を除去する視神経管開放術を行います。このことにより視神経を圧迫している圧力を減少させ視神経のダメージを軽減する方法です。
薬物療法としては視神経の炎症による浮腫を減弱する目的でステロイド剤の大量投与や高浸透圧剤の点滴を用います。(ステロイド剤と同時に使用することがほとんどです。)ステロイドは漸減していき長期的なビタミンB12製剤も使用します。以前の報告によりますと受傷後7日以内に手術を行った症例では60~70%に視力の改善が認められ早期診断、早期治療が視力予後に大きな影響をおよぼすと考えられます。

視神経管骨折の手術の難易度は高く視力改善も悪い場合が多いのですが転倒して頭部を打撲した場合片目ずつてでカバーし視力障害を確認し異常がある場合は眼科を受診しましょう。