お知らせ
薬と緑内障
2024年07月11日
さきのお知らせのところにも記載した通り、緑内障は開放隅角と閉塞隅角の緑内障の二つに大きく分類できます。
開放隅角緑内障は大きく分類すると眼圧が20mmHg以上のものと20mmHg以下の正常眼圧緑内障の二つに分類できますが、80%以上が正常眼圧緑内障です。健診で受けると眼底写真所見から視神経乳頭陥凹拡大と指摘され、眼科受診を指導されます。自覚症状がない場合がほとんどですが、緑内障であった場合は放置しているとしだいに進行していきます。
閉塞隅角緑内障は慢性型と急性型に分類されますが、慢性型の場合には正常眼圧緑内障との混合型も存在します。
最近薬局では、緑内障の有無や緑内障の場合には開放隅角と閉塞隅角のどちらかを聞かれる場合や用紙を渡されて記載してくるよう指導される場合が見受けられます。患者様の中には眼科を受診しておらず、自覚症状もないため薬局に対して返答できない場合がほとんどでしょう。(大部分の患者様は健診すら受けていないことでしょう)
なぜ薬局で内科しか受診していない患者様に緑内障の話をするかというと、内科で処方された薬の中に虹彩と呼ばれる眼を見た場合黒く見える瞳の部分に当たる場所があります。その付け根の部分が隅角と呼ばれ、眼の中の毛様体と呼ばれる部分から産生される房水と呼ばれる水分がこの隅角から静脈に排出される眼内の水の流れの循環があります。隅角からの水の排出が悪くなると水が眼内にたまり眼圧が上がり、眼の視神経の障害を引き起こしてしまいます。特に隅角が狭いと(狭隅角といいます)、使用する薬によっては虹彩の付け根が膨らみ水の排出部分を完全に塞いでしまいます。すると眼圧の正常値は20mmHg以下ですが、突然60mmHg以上の高眼圧になり急激な視力障害や眼痛、頭痛が発症することがあります。この状態を急性閉塞隅角緑内障といいます。(実際にはあまり発症しない状態ですが、発症すると失明の原因にもなりかねません)
眼科を受診している患者様は先生に相談することや、眼科に受診していない人や健診で異常を指摘されていない人も定期的に眼科を受診して御自分の隅角の状態を診察してもらいましょう。急性閉塞隅角緑内障の予防として虹彩光凝固術があります。これは虹彩の周辺の瞼に隠れる部分の虹彩の鼻上または耳上側にバイパスを作り、水の流れが塞がらないようにする方法です。
白内障が発症し視力障害が出だした方は、白内障の手術をすると周辺部の虹彩が平らになり正常の開放隅角となりますので、急性隅角緑内障の予防になります。白内障になっていない若い方で隅角が狭い方は、白内障の手術(最近では水晶体再建術といいます)を施行されることは通常なく、虹彩光凝固術を施行することを勧められます。虹彩光凝固術は痛みもなく、角膜などの切開もないため眼内に細菌感染などは発症しないため治療した直後から洗顔なども可能で日常生活の制限はありません。めったにないことですが、学会などでは合併症として水泡性角膜症が発症する可能性があると報告されています。
薬と緑内障のことで悩まれている患者様は、眼科を受診して相談を受けることをお勧めします。