お知らせ
コンタクトレンズの眼障害
2023年08月23日
コンタクトレンズを1年間装用すると10人に1人は何らかのトラブルを経験すると報告されています(実際には自覚的症状が軽度の場合は放置している患者さまも多いのでトラブルを発症している方はもっと多いと考えられます。)コンタクトレンズは角膜に接触しているため軽度の角膜障害まで含めると1度もトラブルを起こしていない方は稀です。コンタクトレンズを使用中止となる場合もあるためご自分の目にあった眼鏡を必ず用意しておきましょう。(患者様のなかには古い眼鏡しかもっておらずコンタクトレンズを使用しないと仕事ができないとおっしゃる方もいらっしゃいますのでそうならないように目が正常な状態のうちにご自分に適した眼鏡を作っておきましょう。)
角膜障害の要因としては定期検査を受けていなかった、長時間装用、レンズが眼に合っていなかった、レンズケアが適切でなかったなどがあります。
角膜には血管がなく上皮細胞の代謝に必要な酸素は涙液を介して供給されていますが、コンタクトレンズ装用時にはこれが減少します。そのためたまたまコンタクトレンズを装用した状態で就寝したり長時間装用が続いたりすると酸素供給が障害され、角膜障害を起こします。軽度の障害の場合が多いためあまり注意しないでコンタクトレンズを使用していますと突然重症な角膜障害に発達する場合があります。この場合は長期間コンタクトレンズを使用できないばかりか目の痛みのため日常生活にも支障がおきる場合もあります。
コンタクトレンズを安全に装用するにはレンズケアが重要です。1日使い捨てタイプ以外のレンズではレンズ着脱時の洗浄、レンズケースの交換など適切なレンズケアが必要です。具体的には1日使い捨てタイプのレンズ以外のソフトコンタクトレンズではこすり洗いと消毒が必要です。消毒方法には過酸化水素水、MPS(マルチパーパスソリューション;多目的溶剤)、ヨード剤などがあります。
しかし残念ながら現在の消毒剤はアカントアメーバに対する消毒力が弱く、こすり洗いとレンズケースの洗浄と乾燥が必要です。(アカントアメーバは通常では感染する可能性はほとんどありませんがコンタクトレンズを使用し角膜上皮細胞に障害を起こすとまれに感染します。1度感染をおこすと非常に重篤な角膜障害を発症し治療が難しい状態になります。)
人により角膜の形態はことなります。レンズのカーブが目に合っていないとレンズの固着や摩擦によって角結膜障害を起こすことがあります。またレンズの損傷や沈着物も眼障害の原因となります。
アレルギー関連のトラブルも存在します。問題となるのは、アレルギー性結膜炎と、上眼瞼の裏に乳頭状の結膜増生・充血をきたす巨大乳頭性結膜炎があります。コンタクトレンズが上の方にあがったまま中央にこないなどの症状の原因になります。また、かゆみや眼脂が増加したり、レンズがずれやすくなったりする原因にもなります。
レンズ装用で眼の乾燥感を訴える患者様にはヒアルロン酸の点眼などを行いますが、点眼薬の成分や防腐剤がコンタクトレンズに吸着する可能性があり角膜障害の原因となります。最近では点眼瓶に特殊なフィルターがついていて防腐剤が含有されていない点眼薬も発売されていますのでこの種類の点眼薬を使用すればコンタクトレンズの上からの使用も安全になってきています。
コンタクトレンズは先に記載したように上皮障害を起こし感染性角膜炎の誘因として主要なものの一つとされています。正しいレンズケアを遵守することが重要です。
また汚れたレンズの装用によって無菌性に角膜浸潤を生じることもあります。
コンタクトレンズの普及率は非常に高く日常生活にかかせないものになってきています。正しい使用法をまもり安全に使用するこたが重要でしょう。