お知らせ
眼鏡処方(小児の場合)
2023年04月24日
日本では屈折異常者の占める割合が高いとされています。学校保険統計調査によると、近年高等学校では視力1.0未満の学生は約60%、視力0.3未満の学生は30%となっており大部分は近視とかんがえられています。裸眼視力の低下にまず使用するのはやはり眼鏡でしょう。眼鏡を作成する上で小児に対する処方と成人に対する処方は異なる点もありますので考慮が必要です。
小児の眼鏡処方
小児は成人と調節力が大きく異なっています。自覚的屈折検査を行うとき調節力を十分緩解した状態であることを確認する必要があります。内斜視などの眼位異常を伴なうとき、遠視の存在が疑われるとき、他覚的屈折検査の信頼性が疑われるときは調節麻痺剤を用いて屈折検査が必要です。また成人と異なり治療目的で眼鏡を使用する場合もあります。小児期は視覚が発達する重要な時期で同時に両眼の網膜の黄斑にピントが合った像が結像のすることが必要です。これが阻害されると弱視が発症します。原因から屈折性弱視、不同視弱視、斜視弱視、形態覚遮断弱視に分類されています。いずれの弱視でも弱視、斜視の治療目的で眼鏡を使用する場合がほとんどです。また、小児は屈折度も成人と比べ変化が大きく眼鏡のフレームも扱いが乱暴なため破損しやすく眼鏡の作成する回数は多くなります。
小児の他覚的屈折検査のポイントは検影法やオートレフラクトメータによる他覚的屈折検査を参考にすることにあります。小児では調節が介入しやすいこと、特に幼少児であるほど自覚的屈折検査がうまくできないことなどから信頼できる屈折度数を得るために調節麻痺下で屈折検査をすることがのぞましいとされています。特に内斜視や弱視、自覚的検査が不可能な乳幼児、障害児では必須とされています。通常ではシクロペントレートを使用しますが調節性内斜視や遠視性弱視例では最も調節麻痺作用の強いアトロピンを使用します。
小児の自覚的屈折検査
3歳以降では通常の自覚的屈折検査が可能となります。できれば、字一つ視力表を用い保護者の方に自宅で練習をさせてもらってから視力測定をすることが望ましい方法です。幼少ほどあきやすく眠くなる時間帯をさけ来院してもらうこともポイントのひとつです。眼鏡処方としてどのていどの屈折度を採用するかは症例によりことなります。弱視や調節性内斜視では通常、調節麻痺下屈折検査で得られた値をもとに完全矯正眼鏡が処方されます。しかし通常の屈折異常者に対して完全矯正眼鏡を装用させると調節麻痺下での矯正視力検査で見えていたものが麻痺効果がなくなり毛様体筋の生理的緊張が戻った日常の時点では見えにくい場合があります。この場合調節麻痺下屈折検査で得られた値から0.5~1.0D弱めた値で処方する場合があります。処方後も経過観察をしながら度数を変更することも重要です。