お知らせ
視野検査について
2022年09月26日
視野を測定することにより網膜から視覚中枢にいたるまでの病変を見つけることができます。単純に眼の病変のみを調べる検査だと思われがちですが視野を測定することで脳に疾患があることも分かることがあるのです。
視野とは目を動かさないで見ることのできる範囲であるというのがかつての定義でしたが現在は視野は視覚の感度分布であると定義されています。
視野は固視点(視野を測定するとき凝視している点)を中心として視角で表し、固視点より約30°以内の視野を中心視野、それより外の視野を周辺視野といいます。
視野は黄斑部に相当する部分で最も感度が高く(目では黄斑部のみでほとんどのものを認識し、それ以外の部位は病変があってもそれほど視力に影響はありません)黄斑部に相当する部分から少しはなれただけで感度が急激にさがります。視野の網膜の感度を立体図形にたとえて視野の島などと表現することがありますが黄斑部に相当する部分のみ急激に尖った山の様に描かれます。視野は指標の色、大きさ、明るさによってもその範囲は大きくことなります。指標が大きいほど、明るいほど視野は広くなります。
■視野測定について
・動的量的視野
視標の大きさや明るさを変えて、動かして見える範囲を測定します。通常ゴールドマンの視野計を用いて測定します。
網膜各部分の感度の等しい点を結んだ線を等感度線(イソプタ)といいますが視野の結果はこの線を結んだ楕円形の形で表現されます。
・静的量的視野
視標の位置を固定しておいて視標の明るさ(輝度)を上げて初めて認識する明るさの点を網膜の各点について測定する検査です。コンピュータによってプログラミングされ、視野内地点の感度を定量的に測定します。自動的に測定しますので検者の技術に左右されないという客観性があり長期的な経過観察に適しています。また動的量的視野測定では検出されないような微細な感度低下も測定可能です。通常緑内障の判定にはこの方法で視野を測定します。自動視野計とも呼ばれハンフリーの視野計がその代表的なもので緑内障の新薬などの有効性を判定する試験にもよく利用されます。
また、静的量的視野は緑内障の早期発見にもやくだちます。緑内障の80%以上の患者さまは眼圧も正常で自覚症状もほとんどないため眼科には受診せず検診等で危険性を指摘されないと発見すらできない状態にあります。
緑内障の大半がこのような正常眼圧緑内障(低眼圧緑内障)と呼ばれる状態でほとんどの方は緑内障になると視野が狭窄すると考えられていられていらっしゃいますが、緑内障の視野狭窄は網膜剥離や眼底出血の視野狭窄とは異なり自覚的はほとんどわからず視野検査によってのみ視野狭窄が判明する場合が多いのです。
眼底には視神経の束が入ってくる場所があり眼底検査では視神経乳頭と呼ばれる場所ですが、視力のほぼすべてを担っている黄斑部のすぐそばにあるもにもかかわらずこの部位には網膜がないためどなたでも全く見えない部位(生理的な盲点でマリオットの盲点とよばれています)となっているため自覚的にその部位を感じる人は誰もいません(網膜の光を感じる神経がないため見えているかどうかの判別が脳でつけられないためおこる現象です。麻酔をした部位を切開しても痛みを感じないことと類似しています。
網膜剥離や眼底出血はその周辺の網膜が光を感じる神経細胞が活動しているため視野の欠損を感じることができます。)。視野検査を行うと全く見えない生理的な盲点として検出されます。このように視神経の線維層がなくなっている部位は先ほど説明した視神経乳頭の部位と同様の理由で自覚的に光(画像)がみえるかどうか判別できないためご自身では視野が正常のようにかんじてしまいます。緑内障の視野欠損はよほど進行しないかぎり気がつかず放置されてしまいます。
この現象が原因で緑内障が悪化しないと眼科を受診しなくなり緑内障が失明する原因の1位になっていることにも関係しているとおもっわれます。40歳前後の方は症状がなくても検診を受けたり眼科を受診し緑内障の見落としを防止するとともに早期発見に勤めましょう。
当院では眼底三次元画像解析装置を用い視神経線維層の欠損を判定し欠損のある症例では静的量的視野を測定して緑内障患者様の早期発見、治療を行っています。