お知らせ
乱視について
2022年08月22日
乱視は眼の屈折に重要な役割をはたしている角膜のゆがみによって発症します(まれに水晶体に起因した乱視もあります)。
乱視についてはかなり誤解した解釈をしている方が多いようです。診療をしていると近視、遠視、乱視の3つの独立した屈折状態があると考えている方が多いように思われます。今回は乱視について解説させていただきます。
■定義
乱視とは、無調節状態の眼に入った平行光線が、網膜の前方・後方を問わず1点に像を結ばない屈折状態です。近視や遠視とは別の屈折状態のため近視でも遠視でも乱視が合併します。見え方としてはどの距離であっても焦点があわないためぼやけてみえます。しかしオートレフケラトメーターで屈折検査を行うとほとんどの方にわずかな乱視があることがわかります。わずかな正乱視(分類のところで説明します)であれば見えかたにまったく支障はなく眼鏡を作成する時も各人の好みにより乱視をいれない場合も多くあります。また乱視が強いと片方の眼だけでものを見たとき2重に見える場合もあります(この場合は両眼でみても2重にみえます)。
■分類
大きく分けて正乱視と不正乱視に分類されますがほとんどの場合は正乱視です。
1、正乱視
角膜または水晶体の屈折面の対称的な歪みにより、直交する2経線で屈折力が異なる状態をいいます。屈折力の最も強い経線を強主経線といい、最も弱い経線を弱主経線といいます。眼に入った平行光線は、それぞれの経線方向で異なる屈折が起こり、集光する位置が点ではなく線となります。この集光する線を焦線といいます。強主経線の焦線を前焦線といい、弱主経線の焦線を後焦線といいます。この焦線間距離を焦域といい、この焦域の光学的中央は各経線の集光によってつくられる光束が最小の円になる位置で、これを最小錯乱円といいます。眼鏡等矯正していない乱視眼は、この最小錯乱円でものを見ています。
眼鏡で矯正する場合は円柱レンズといって凹レンズや凸レンズとは異なったレンズを使用します。強い乱視ではゆがみを減少させるため等価球面置換法といって凹レンズや凸レンズを強めにして乱視の度数を減らして眼鏡を作成することもあります。
2、不正乱視
正乱視で矯正ができない不整成分の乱視です。主に角膜の表面が平滑でない(でこぼこしている)状態で発症します。屈折矯正による良好な矯正視力が得られにくい状態で眼鏡では矯正ができずハードコンタクトレンズを使用することで良好な視力が得られる場合が多い状態です。ソフトコンタクトレンズの場合はレンズが柔らかいため角膜の形状にレンズが変形してしまうので視力の矯正はよくありません。
■正乱視の分類
(1)単乱視
主経線の一方が正視である乱視のことをいいます。他方が近視であれば近視性単乱視、遠視であれば遠視性単乱視といいます。
(2)複乱視
主経線の両方とも近視または遠視である状態のことをいいます。主経線が近視であれば近視性複乱視、遠視であれば遠視性複乱視といいます。
通常はほとんどの場合、近視性単乱視と近視性複乱視をあわせて近視性乱視、遠視性単乱視と遠視性複乱視をあわせて遠視性乱視といいます。
(3)混合乱視
主経線の一方が近視、他方が遠視である乱視のことをいいます。
■強主経線の方向による分類
- 直乱視
強主経線の方向が垂直の場合をいいます。
2, 倒乱視
強主経線の方向が水平の場合をいいます。小児期は倒乱視が多いのですが年齢とともに直乱視のこどもが増えていきます。
3,斜乱視
強主経線の方向が斜めの場合をいいます。