お知らせ
近視について
2022年06月09日
以前お知らせのところで最近までの近視の基礎的研究内容を記載させていただきましたが今回はもっと基本的な内容を記載させていただきます。
近視はどなたでも御存じのとおり裸眼で近くのものをみることができる屈折状態のことをいいます。医学的に言いますと無調節状態の眼に入った平行光線が、網膜の前方に像を結ぶ屈折状態のことで網膜の前方に像をむすぶため物を近ずけると網膜に焦点がくるため近くの物が見えることになります。反面遠方のものはどの位置にあっても網膜に焦点が結ばないため裸眼でははっきりとは見ることはできません。(軽度の近視では網膜のわずか前方に焦点がくるため日常生活に困らない程度で遠方も見え、さらに微細な近視では裸眼で遠方もはっきりと見ることができます。)また近視の場合には中等度程度の近視であれば加齢現象である調節力の低下が発症しても網膜の前方に焦点があっているため近方視で焦点が網膜にくるため老眼になっても近用眼鏡を必要とせず近くの物を見ることができます。
通常近視の場合網膜の前方に焦点があるため後方に焦点をずらす必要があります。そのため視力矯正には凹レンズを使用します。単位はで-表しますが度数が大きくなるほど数値も大きくなります。
近視の分類
程度別分類
・弱度近視:-3.00D以下
・中等度近視:-3.00Dを超え-6・00D以下
・強度近視:-6.00Dを超えるもの
発生の成因からの分類
・屈折性近視:角膜や水晶体の屈折力が強いために起こる近視です。
・軸性近視:眼軸長が長すぎるために起こる近視です。
臨床的分類
・単純近視:矯正視力や視野などの視機能障害を伴わない近視で、眼鏡レンズ等により視力矯正できるものをいいます。学童期に発生する学校近視の大部分は、これに属します。
・病的近視:何らかの視機能障害を伴う近視で、眼軸長の延長で発症します。
より詳細に説明しますと単純近視は視機能障害を伴わない近視で、屈折度も比較的軽く、矯正視力も正常です。症状は近くはよく見えますが、遠くはよく見えないという視力障害があります。眼底を観察するとコーヌスと豹紋状変化がみられることがあります。
視力に不自由を感じる場合は、眼鏡やコンタクトレンズを装用することで視力障害は改善します。
これに対して病的近視は視機能障害を伴う強度近視で、眼軸長が異常に長く、眼底に変性をきたし矯正視力が不良である場合も多く認められます。網膜に異常が生じると裸眼視力の低下が著明となり、遠方および近方ともに矯正視力が低下してきます。さらに視野、色覚、光覚に異常が出てくる場合もあります。眼底変化を詳細に観察しますと、単純近視の変化に加え、網脈絡膜萎縮や黄斑出血などを発症している場合もあります。
合併症として網膜剥離、緑内障、白内障、斜視などが発症する場合もあります。
以前のお知らせのとろに記載したように最近では近視の人口は増加してきており特に日本人は近視が多いといわれています。なかでも学童期の近視増加は重大な問題点となっています。
最近の日本国内の調査では、裸眼視力が1.0未満の小学生は31.5%、中学生は51.6%、高校生では66%もおり、これは30年前の約1.5倍にもあたるといわれています。