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アレルギー性結膜炎の発症するしくみと治療
2021年10月07日
以前アレルギー性結膜炎の治療についての項目でも説明しましたが今回はもう少し具体的にアレルギー性結膜炎の発症のしくみを解説します。
結膜の表面は涙の薄い層があります。アレルギー性結膜炎の原因となる物質が涙の層に付着するとアレルゲンとよばれる抗原が涙の層のなかに流れ出します。涙の層の下は結膜の上皮細胞の層がありこの部分にアレルゲンが浸入しさらに結膜の深層の固有層に達すると肥満細胞と呼ばれる身体を守っている免疫細胞が反応しヒスタミン、ロイコトルエン、血小板活性化因子、プロスタグランジンなどのメディエイターが大量に放出し神経や血管に作用して炎症をおこします。炎症を起こすとかゆみ,異物感、充血といったアレルギー性結膜炎の症状が発症することになります。
以前にもお知らせしたかもしれませんがアレルギー性結膜炎の治療薬にはこのメディエーター放出を抑制する薬(クロモグリク酸ナトリウム(インタール点眼)、ペミロラストカリウム(アレギサール点眼)、トラニラスト(リザベン点眼)、イブジラスト(ケタス点眼)、アシタザノラスト水和物(ゼペリン点眼))とヒスタミンが神経や血管に作用するのを抑制する薬(レボカバスチン塩酸塩(リボスチン点眼)、ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン点眼)、オロパタジン塩酸塩(パタノール点眼)、エピナスチン塩酸塩(アレジオン点眼))があります。
次にアレルギー性結膜炎の代表的な疾患であるすぎ花粉症についての治療法を説明いたします。すぎ花粉の治療法としては初期療法を実施する場合と花粉の飛散が開始してから治療する場合があります。初期療法は花粉が飛散しはじめる2週間ほど前から点眼薬を投与する治療でアレルギー性結膜炎の発症を遅らせたり花粉の飛散量がピークになったときのアレルギー症状を軽くすることができます。すぎ花粉症の飛散時期は初期(1月から2月頃の花粉飛散予測日まで)、飛散期(2月から4月頃)終息期(4月から5月頃)に分類されています。初期療法を実施する場合は花粉飛散の開始予測日の情報をよく調べて飛散予定日の約2週間前から点眼薬を投与します。投与する場合はメディエーター遊離抑制薬を初期のみ投与して飛散期からヒスタミン抑制薬にきりかえて終息期まで使用する方法とメディエーター遊離抑制薬を初期から終息期まで使用する方法とヒスタミン遊離抑制薬を初期から終息期まで使用する方法があります。飛散期にアレルギー症状が強い場合はステロイド点眼を併用することもあります。毎年アレルギー性結膜炎が発症する方は眼科を受診し点眼薬の処方をしてもらいましょう。